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実家(その1)



私の実家は旅館でした。

正面から見ると狭い感じがしますが、奥行きがある家でした。

玄関を入ってすぐに2階へ上がる階段。

敷地の真ん中あたりにもうひとつ2階へ上がる階段がありました。

今回はその真ん中の階段のお話。



玄関から真っ直ぐ階段へ伸びる廊下。

階段の手前には右手にトイレ。

左手は庭でした。

自分の部屋はそのもっと奥。

階段の側面を見るような感じで通り過ぎます。

なぜかそこにはいやな感じが漂っていました。

ある日夜中にそこを通ると、なにやら人影が・・・

『お客さんでもいるのかな?』

そう思って通り過ぎようとしたのですが、なぜか見覚えがあります。

よくよく見ると、十数年前になくなったおじいちゃんがそこにいるのです。

中腰で、何かに腰掛けているように見えました。

おじいちゃんが見えるのはこの場所だけ。

他にもいやな感じのするところはたくさんありましたが、なぜかそこだけでした。

おじいちゃんは話しかけるでもなく、移動するでもなく、いつでもただそこに腰掛けているだけでした。

今は取り壊されたあの家。

おじいちゃんは一体どうしているのでしょうか・・・




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